新百合ヶ丘駅徒歩5分 ~朝ごはんに丁度良いパン屋「カンガルー」を紹介~

 こんにちは。マムシちゃんです。今回は新百合ヶ丘駅徒歩五分にある「カンガルー」というパン屋さんに伺ったので、購入品とともに紹介していきたいと思います。

「カンガルー」ってどんなパン屋?

 

 金・土・日曜日にしか営業していない小規模でどこか秘密基地のような雰囲気が漂うパン屋さんです。販売所とカフェが併設されていて、販売所が土・日の7時~17時、カフェが金・土の11時~17時に営業をしています。注)どちらにも行きたい場合は土曜日の11時以降に行くしかないので気をつけてください。

 新百合ヶ丘駅周辺で朝7時から営業しているパン屋は希少なので、土曜日の朝に至急パンが食べたくなった場合はここ一択でしょう。

場所も入り込んだわかりずらいところにあり、店員さんの接客も穏やかなので、全体的に「売ってやろう!!」という気概を感じませんでした。それって良いことなの・・?と感じるかもしれませんが、私からすると相当な誉め言葉です。

大人二人入れば満員になってしまう小さな店内に、「いらっしゃいませ」と無理やりにいってこない来るもの拒まず去る者は追わずの落ち着いた空気。とても好きな空間でした。

逆にラーメン屋のごとく「らっしゃっせえええー」とと言われたら開けた扉をそのまま閉じて帰ったと思います。違う、パン屋に求めているものはそれじゃないと。

客層的にパン屋自体落ち着いた雰囲気のことが多いですが、カンガルーはパン屋に求めていることを的確丁寧に再現してくれていました。パン屋巡りが好きな人・本屋やパン屋の雰囲気が元々好きな人であれば確実に気に入ると思います。

カンガルーの食べログ↓

カンガルー – 新百合ケ丘/パン | 食べログ (tabelog.com)

こんなところにパン屋が・・・。

 ジブリ世界に迷いこんだかのような素朴で可愛いらしい建物のドアを開くと、こじんまりとした店内にぎゅっと押し込められていた麦の匂いがフワと拡がった。

右手には七種類のパンがそれぞれ綺麗に整列されて並んでいて、左手には「予約パン」とかかれた看板とともに数種類のパンが雑多に並んでいる。

予約することもできるのか次は予約してこよう。と、右手に視線を移すと、想像していたよりずっと少ない品数に内心ガッカリした。七種類のパンはどれもどこか地味な色合いで、まるでクリスマスにおばあちゃん家でお祝いしようといわれたような「(おばあちゃんは好きなんだけど)なんかこれじゃないんだよなあ・・」というもやもやが残る。クリスマスにはもっと派手に可愛らしくいたいじゃないか。わざわざ朝早く起きて散歩をし、完全にお祭り気分だった私は「もっと華やかなものがよかった」と勝手な願望を押し付ける。

カンガルーからすれば「知らんがな」な話だ。嫌なら出ていけば言われるのが目に見えていたし、きっとただ華やかなパンを願う私を冷淡な目でみて「子供ね」なんて言ってくるのだろう。

クソうカンガルーめ。京都人みたいなたちの悪さだ。じゃあ、君のいう素朴な良さとやらをしかと拝見させてもらおうじゃないか。

 昨日のパン、というメモ書きとともに半額にされていたライ麦パンと、その他美味しそうだったパンを四種類手にとって店をでた。

いざ実食!

 家に帰り戦利品を広げた。よっしゃー、いただきます!!!!

酸っぱく酸味のあるドイツパン

一番最初に手にとったのは、半額になっていたライ麦パン。(下の写真が1枚で、17枚切りにまとめて販売されていた)

 袋を開けた瞬間に広がるライ麦のツンと鼻をさす匂いが、私にケルン大聖堂の幻覚をみせる。これだ、これこそ「ドイツパン」だ。イメージするドイツパンがそのまま私の手の内におさまり、冒険者になった心持ちでワクワクとそれをちぎった。

二分割されたパンの扉の奥には、数年前に近所で買った浅黒い皿があった。ワクワクした気持ちを一気に覚めさせる現実味のある風景。生真面目で勤勉なドイツ人に「浮ついた気持ちで食べるな」としかられてしまったかのようだ。ごめんなさい、ともう一度向き合って、右手に収まった小さいほうのパンを口にいれる。口にいれた瞬間、私は思わずにやつく。

なあんだ。やっぱりドイツ人だって、本当は遊びたいんじゃないか。

ドイツ人は生真面目で勤勉。というイメージと共に、事あるごとにビールを飲むという文化がある。

ドイツ人がビールを好むのは、心底に潜んだ興奮を「酔った」という弁目を借りて表現したいからなのではないか。と私は思う。素のままバカになるのは恥ずかしい。けれど、本当はバカみたいに興奮に身を任せたい欲望がある。だからこそ、「今僕が狂人なのはビールのせいなんだよ」と仮面をつけて騒ぎたてる。

品よくまとまったパンの中に潜む癖のあるとげとげしい味わいが、そんなドイツ人の人間性をあらわしているように思えて面白かった。

ー 堅く歯切れのよい食感と酸っぱい風味はさっぱりとした味わいで、それでいて空洞が少ないから食べ応えもある。

これはダイエットに良さそうだ。食パンを食べるよりずっと腹持ちが良い。

万年ダイエッターの私には耳障りの良いニュースだ。残り16枚もあることだししばらく朝ご飯はこのパンにしよう。

これはとうとう瘦せてしまうかもしれないな。私を愛する全ての人たち、とうとう贅肉とお別れすることになりました。より美しくなるという確約に乗じて、この無礼をお許しください。

・・とはいえ、あっさりと平坦な味わいだから、さすがに毎日これじゃあ飽きてしまうな。どうにかアレンジレシピを考えていかなければ・・・。

あ、そうだ。クリームチーズと蜂蜜をかけて食べたら美味しそうじゃないか。レーズンなんて乗っけたらさらに最高だ。

よし、明日の朝はそれで決まりだ。意気揚々と残りの16枚を保存袋に入れていく。

ー私の瘦せない理由が、漸く分かった気がする。

体育館にあったら迷わず投げるパン

このパンを手にとったとき、目の前に犬がいなくてよかった。もし犬がいたら、私はぶん投げてしまいたくなる衝動を抑えることができなかっただろう。

次にいただくのは米粉パン。

先ほどとはうってかわってモチモチとしている。それはYOGIBOのような吸い込まれていくモチモチ感ではなく、外側の皮は堅く、中に弾力を感じるメリハリのあるモチモチ感だ。

食べてみてもやはり外側の皮がかたくて、嚙んでいると大抵外側だけが残る。中身はおはぎの食感と酷似している。おはぎをそのままいれたというよりは、密度の低い米粉パンの中に時折おはぎを織り交ぜたような感じで、米の固まっている部分と固まっていない部分の差が激しかった。

米粉パン好きとしては余計な味付けのないそのままの味わいがとても好きだったが、ご飯として食べる場合はこのパンだけだと寂しいだろう。

クリームシチューと一緒に食べたり、パスタのたれに浸したりするとより充実した一食が味わえると思う。リピートして買いたいと思った。

うんまっ!!!!

 三つ目はデニッシュ風シナモンロール。最初にいうと、今回の購入品の中で一番好みだった。

クロワッサン風のサクサクとしたデニッシュ生地が、砂糖のわかりやすい甘みを纏った珈琲を引き連れて、口の中に入ってくる。カリッとしたデニッシュ生地の端の部分をかめば、バターがじゅわあと歯をコーティングする。やがてカーテンのように颯爽と消えていくデニッシュ生地。取り残された砂糖と珈琲のコンビは阿吽の呼吸で漫才を始める。

「お前たち、喧嘩しないでおくれよ」

と甘味と苦味という全く別の特性をもった双子を見守る母親。

砂糖と珈琲は互いに睨みあっていた。母しか観客のいない薄暗い劇場にぴりついた緊張が走る。

ー漫才なんて不安定な仕事、私は認めない

母の言葉を思い出す。僕らができるのはただこの一本のマイクをつたって、思いを伝えることだけだ。

二人の息がマイクで合流した。

そこから紡ぎだされた言葉たちは、ひどく落ち着き放っていた。

声ばかり大きいわけではない。品のない下ネタ・悪口で強引に笑わせるわけでもない。

ただ、時折微笑みが浮かぶくらいの「誰も傷つかない笑い」がゆったりと続いていく。

母親は安心しきって、ただ彼らの奏でる心地のよい笑いに身を任せた。

口内のパンが完全になくなってからも、あと引く柔らかい甘みが残っていた。朝焼けの波際を思わせるゆったりとした甘み。

 小さく拍手をしてさっていく母親の姿が、やけに小さくみえた。

コスーン

お次はスコーン。スコーンにはクリームチーズやジャムをつけて食べるのが好みだが、今回はスコーンそのものを楽しむため何もつけずに頂いてみた。

ちぎってみると、スコーンらしくパラパラと粉を落として割れた。その勢いのまま口にいれ、咀嚼。粉の味がはっきりとしていて、口内の水分をすべて奪うほのかなあまみ。これこれ!これこそスコーンよ!という味だった。この粉っぽい感じが好きじゃない人からすると、スコーンは何が美味しいのかわからないだろうな。

粉の味が好きな私でも、スコーンはそのまま食べるとどこか未完成な印象を抱く。パほパほしていて味が薄い。

嚙めば嚙むほど粉のあまみが拡がってきて、紅茶で押し流せば口内が心地よくおさまる。

スコーンはたまに食べると本当に美味しい。そして、スコーン美味しいとか言ってみせる自分も、ちょっと好き。

ベリーパン

 最後はベリーパン。外側は手でちぎれないほどかたく、内側はしっとりとした触感だった。混ぜ込まれたベリーは個人的にもう少し量が多いと嬉しかった。ベリーの味ははっきりと分かったが、ベリーとパンだとどうしてもパンの主張の方が強かった。柔らかいフランスパンの中に時折ベリーの風味がする。位の感じだった。もっとベリー!!!と主張をしてほしかった。が、朝ご飯として食べる場合はこのくらいベリーの主張が少ない方がよいのかもしれない。

 この手のベリーパンは比較的色んなパン屋で見かけるが、なぜどこのお店もベリーを入れるのだろうか。大体がクルミかベリーを入れている印象だ。

もっとほかのイチジクやらカシューナッツやらじゃダメなのだろうか。

もしかしたらどこかものすごい策士なクルミとベリー農家がいて(農家っていうのかな)パン屋専用で大量に生産安価で生産しているのかもしれない。裏ではパン屋同士で日米修好通商条約みたい(言いたいだけ)に「そこで個性だすの禁止にしません?」と協定が組まれているのかもしれない。私がクルミとベリーが好きだからクルミとベリーのパンばかり目についているのかもしれない。

奥が深いぜパン屋業界・・。

最後に

カンガルーにいけて良かった。いって良かった。ほんとおいしかった!!!地味なパン多いとか思ってごめんなさい!また行きます。ご馳走様でした!

では、今回のここで一詩。

パンの温もり胸抱え 雫落ちきらぬ 傘置きに水玉

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